田俳句会   問い合わせ 入会購読申し込み  
         
ライン home 田俳句会とは 主宰 水田光雄 俳句雑誌 「田」 句会案内 田叢書 お知らせ リンク ライン
  前のページへ戻る    
  入会・購読申し込み  
       
    タイトル  
 
 
主宰の一句アーカイブ
 1 2 3 4 5

 以前勤めた会社の上司が引退して、北九州へ帰るというので、ごく内輪の送別会へ出た。会場は浅草の台湾料理の店だったが、すこし早めに雷門へ着いて、仲見世界隈を歩いてみた。いつも遠くから見ていたスカイツリーが目の前に迫り、巨大な鉄の鉛筆を見上げているようであった。

 夕方から降り出した雨は傘をさすほどではなかったが、暮れかかったスカイツリーが黒々と聳えている。それを背景に、あちこちで写真を撮っている集団に出合った。中国人の観光旅行の一行のようで、大声で閉店間際の仲見世を闊歩していた。

 スカイツリーの外観はほぼ出来上がっているようで、もはや忘れられようとしている東京タワーと合わせて、東京に二つの電波塔が立っていることになる。

 先日、仕事関係の会合が田町であった。会合の後、外へ出るとすぐ近くに東京タワーの脚が見えた。スカイツリーが東京に突き刺さって伸びた鉄の棒のようだとすれば、東京タワーは東京に踏ん張っているガリバーように見えた。

 昭和三十三年に完成した東京タワーは、昭和の東京に踏ん張って、日本を見下ろしてきた塔である。戦後の復興から高度成長期、オイルショックもバブル経済の崩壊も睥睨してきた塔である。

 会合の後の懇親会へ、田町から慶應の方へ向かって歩いているとき、いきなり隣の人が、やっぱり東京タワーですよねえ、と話しかけてきた。東京タワーを近くで見ると力が湧いてきますね、などと曖昧に答えを返している自分が、何とも滑稽に思えた。やっぱり東京タワーですよねえ、と言った人の職場は浅草にあり、毎日スカイツリーを見ている年配の男であった。

 

         秋天に東京タワーといふ背骨   大高 翔

 
       
       

home田俳句会について主宰水田光雄俳句雑誌「田」主宰の一句俳句日和句会案内|「田」叢書お知らせリンク
  当サイトを無断で転載、複製することは禁止します。Copyright(c) 2003-2012 denhaiku-kai All rights reserved.